今回からは遅発一過性徐脈です。
遅発一過性徐脈の判定基準を図に示しました。
①一過性徐脈の最低点は子宮収縮の最高点より30秒以上遅れて出現すること
(この遅延時間は45~60秒程度のことが多いです。)
②一過性徐脈の基線への復帰は子宮収縮の終了より遅れること
③一過性徐脈のパターンは互いに類似していることが多いのですが、異なることもあります
④一過性徐脈の深さは5~10bpm以上であれば、その深さは問いません
⑤胎児心拍数基線の位置は問いません
⑥胎児心拍数の低下パターンは急峻か緩徐かは問いません
判読上のポイントは、胎児心拍の最低点が子宮収縮の最高点より30~90秒送れて出現するということです。心拍の低下パターンは急峻なものから緩徐なものまで様々です。
数年前には、遅発一過性徐脈に今までなかった重症度分類が新たに設けられました。
軽度遅発一過性徐脈(mild lete deceleration):
基線から最下点までの心拍数低下が15 bpm未満の時をいいます。
高度遅発一過性徐脈(severe late deceleration):
基線から最下点までの心拍数低下が15 bpm以上の時をいいます。
緩徐なパターンの遅発一過性徐脈の例を示めします。
子宮収縮の最高点と一過性徐脈の最低点との時間差は60秒です。基線は130~140bpmですが、基線の細変動は5bpm未満に低下しています。重度の胎児機能不全が予想されるパターンです。細変動の消失は胎児低酸素血症が進行し、アシドーシスが進行していることを示唆しています。
急峻なパターンの遅発一過性徐脈の例を示します。
子宮収縮の最高点と一過性徐脈の最低点との時間差は60秒です。基線は150~16 bpmであるが、基線の細変動は5bpm未満に低下しています。やはり、重度の胎児機能不全が予想されるパターンです。
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